第6章 クレッシェンドに高まる熱【賭け試合】
「俺たちはあくまで秤さんにお願いしに来てる立場だ。多少は仕方ねぇけど、今後の関係に響く事態は極力 避けたい」
確かに、あの乙骨が「自分より強い」と言っている相手に挑んで勝てるかどうかも怪しい。
彼とは直に命のやり取りをしたのだ。乙骨と同等、もしくは上の実力と考えるなら、『三人ならいける』と言い切ることはできなかった。
それに、勝てればいくらか話を聞いてもらえるかもしれないが、負ければ協力してもらうのは絶望的である。
「正直、今晩 俺は詞織に任せて動くべきじゃないと思う。でも、津美紀の回游への宣誓期限まで時間は無駄にしたくない」
「今……十日の十七時。津美紀の宣誓期限まで、残り九日……」
スマホで日付と時間を確認し、詞織がカタカタと小さく手を震わせた。
残り九日――決して余裕があるとは言えない。むしろ、期限など いくらあっても足りるわけがなかった。
詞織の手に触れ、伏黒が虎杖へ視線を向ける。
「だから、俺も今晩 潜入して秤さんを探るが、ヤバそうならすぐ退く。これは詞織も同じだ」
そういう意味での『かも』というわけか。
虎杖は「了解」と気合を入れながら返した。