第6章 クレッシェンドに高まる熱【賭け試合】
「入口には見張りが四人。たぶん術師だけど、あんま強くなさそうだった。でも、建物内にどれだけ見張りがいるか分からないし、向こうが抱えてる術師全員が入口の見張りと同レベルかは不明だから、侵入のリスクが低いとは言えない」
「屋上は?」
「ごめん。行こうと思ったんだけど、見つかっちゃって……」
伏黒に答える詞織に、虎杖は思わず「えぇ⁉」と声を上げる。
「大丈夫だったのか?」
「うん。適当に誤魔化しておいた」
「誤魔化すって……」
そんな高等テクニックが使えたのか?
そう思っていると、突然 詞織が肩を震わせた。
「……『じ、実は……一緒に来てた男の人と……はぐれちゃって……パパとママが死んで お金もないし……どうしたらいいか分かんなくて……そしたら、「お金がたくさん稼げる」って、背の高い白髪頭の男の人が連れてきてくれたんです……』って言ったら納得してくれた」
す、すげぇ……さっきの「ホント? すごい」より ずっと感情がこもって悲し気な空気が伝わってくる。
……っていうか、背の高い白髪頭の男って五条のことでは?
「詞織も演技できたんだな」
「当然。状況に合わせて表情くらい作れる。疲れるけど」
「つーか、詞織も伏黒と一緒で めっちゃ出まかせ言うじゃん」
「でも、いたみたい。タカハシさんっていう それらしい人。だから、タカハシさんが掴まってウソがバレる前に接触しないと……ん? メグ、どうしたの?」
眉間にシワを寄せて険しい表情をする伏黒に、詞織が首を傾げる。その様子に伏黒は小さく息を吐き、険しい表情をわずかに和らげた。