第6章 クレッシェンドに高まる熱【賭け試合】
「伏黒、危ねぇなぁ。ハッタリが過ぎるって」
先ほどのことを思い出し、虎杖は伏黒に眉を寄せた。
殺しただとか、一月前に会ったとか、威勢だけのクズがいた とか……全部 出まかせではないか。
自分が口を挟むとボロしか出さないため黙っていたが、内心ではバレないか冷や冷やした。
だが、伏黒は「そうでもないだろ」と平然と返してきた。
「呪詛師も参加してるなら、それなりに入れ替わりもあるはずだからな」
そう話していると、「メグ、ユージ」と聞き慣れた声に呼ばれる。
「どうだった?」
「あぁ。虎杖が賭け試合に出場することになった」
「ホント? すごい」
うわ。声に抑揚がなさすぎて、全然 すごいと思っているように聞こえない。表情も微かに目を丸くした程度……見逃してもおかしくないほど小さな変化。
しかし、伏黒には「すごい」という称賛がしっかり伝わっているようで、「別に」と目元を少し赤くしている。照れているのか?
「オマエはどうだ?」
「建物の周りを一周してきた」
詞織の話によれば、排気口は詞織なら通れるサイズらしいが、どこに繋がっているかは不明。
非常口には鍵が掛かっているが、術式や呪力で強化した攻撃で突破できそう。しかし、定期的に見張りが巡回している音が扉の向こうで聞こえていたらしく、破壊音ですぐに見つかるとのことだ。