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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第6章 クレッシェンドに高まる熱【賭け試合】


「連れが来たんで、もういいですか?」

 そう言うと、女は「はいはい」と両手を上げて降参の意を示す。

「ごめんね。こんな可愛い彼女ちゃんがいると思わなくて、声掛けちゃった」

 詞織の頭を撫でる女に、「触るのやめてください」と言って払いのけた。

「じゃあ、おやすみなさい」

 女はクスクスと笑い、去って行く。その姿が完全に見えなくなって、伏黒は息を吐いた。

「で、オマエはこんな時間になんで出歩いてんだよ。危ねぇだろ」

「それはメグも同じでしょ。絡まれてたくせに」

 そこは言い訳できない。思わず言葉を詰まらせていると、詞織もオレンジジュースを買い、伏黒の隣に腰を下ろす。

「……考えてた。兄さまの様子、変だったなって」

 詞織も気づいていたのか。伏黒も、星也の津美紀に対するアプローチが妙に消極的であることに疑問を持っていた。


 ――「結界内がどういう状況かも分からない以上、下手に接触しない方がいいだろう。最悪、出会い頭に殺し合いを強制される――ということも考えられる」


 星也の言わんとすることは分かる。だが、その言葉も建前のような気がしていた。

 それに 今までの星也なら、真っ先に津美紀の様子を見に行ってくれているはずだ。仮に傍に行けなくても、それができるだけの手段を持っている。

「たぶん、何か考えがあるんだろ」

 そう口では言いつつも、伏黒も詞織も不安は拭えない。

 津美紀を助けるつもりがないわけでないのは分かっているが……。

「もし 本当に兄さまに津美紀を助ける気がないっていうなら……わたしが津美紀を助ける」

「バカ。“わたしが”じゃねぇ。“わたしたち”だろ。勝手に一人でやろうとすんな。どんな手を使ったって……」


 ――津美紀は必ず助ける。


 固い決意と共に缶コーヒーを握りしめると、ミシッと缶が小さく音を立てて凹んだ。

* * *

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