第6章 クレッシェンドに高まる熱【賭け試合】
伏黒と虎杖で一部屋、詞織で一部屋 取り、伏黒は自販機の傍にあるベンチで一息ついていた。
この数日で目まぐるしく状況が悪化し、一人で頭を整理したかったのだ。
「……津美紀……」
冷えたコーヒー缶を額に当てて頭を冷やす。
大丈夫だ。自分は一人ではない。虎杖も乙骨もいるし、真希たちも【死滅回游】を終わらせるために動いてくれている。
何度も何度も自分の中で繰り返しては、脳裏に星也の背中が過った。
「ねぇ、君……大丈夫?」
声を掛けられ、伏黒は顔を上げる。華やかな顔立ちの女がいた。着ている服は胸元が少し緩く、谷間がチラチラと見えている。
どうやらわざと見せているらしく、視線に気づいた女がニヤつくが、伏黒の心は冷め切っていた。
詞織以外の女にこんなものを見せられても、感情は動かない。
「具合が悪いなら、アタシの部屋で休む?」
「いえ。自分の部屋があるんで、大丈夫です」
腕に触れてくる女の手をやんわり解いて身を引くが、女は離してくれない。
「でも お姉さん、君を一人にするのは心配だなぁ……」
面倒なのに捕まったな。無理やり突き放すのは簡単だが、怪我をしたと因縁をつけられても困るし。かといって、虎杖を呼んでも仕方がない。
そんなことを考えていると、「メグ」と名前を呼ばれ、伏黒の心臓が条件反射で甘く脈打つ。
伏黒の腕を掴み、豊満な胸を押し当てる女の姿に、詞織が苛立ちからか微かに眉を寄せたのが分かった。
詞織は多くを語らず、スタスタと伏黒のもとまでやって来ると、女を見上げる。
「メグは わたしのだから……ダメ」
伏黒の制服の裾を掴み、どこか拗ねたような声音で言う詞織に、「だな」と思ったよりも甘ったるい声が出た。