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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】


「甚壱さん‼︎」

「そのまま止めてろ、蘭太‼︎」

 凝視した対象の動きを封じる、蘭太の拘束系の術式――真希の眼前にも巨大な眼が現れ、「動くな」と言わんばかりに凝視されるも、真希は止まらなかった。

 叩きつけるように巨大な目を攻撃され、蘭太の目が大量の血液が噴き出す。甚壱が容体を確認するために足を止めて振り返るが、蘭太は「構うな!」と声を上げる。

「今の禪院家が在るのは、甚爾さんの気まぐれだ! 気づいてるだろ! 真希はあの人と同じに成ったんだ‼︎」


 ――今! ここで! 殺るんだ‼︎


 蘭太の後押しもあり、甚壱は拳を振りかぶった。甚壱の背後に巨大な拳がいくつも現れ、振り下ろすのと同時に禪院家もろとも真希をめがけ、隕石のように落下する。

 轟音と共に禪院家の屋敷は破壊され、衝撃で砂埃が一帯を覆うように隠した。

「やりましたね、甚壱さん……!」

 失明してしまったのか。血涙の流れる目を伏せ、蘭太が安堵の笑みを口元に刻む。

 その隣を、甚壱の首を掴んだ真希が通り過ぎ、失血で気を失った蘭太の首も落とした。

 そのまま掴んでいた甚壱の首を池に投げ捨てていると、「酷いなぁ」と直哉が下卑た笑みで真希を見た。

「人の心とかないんか?」
 ――【炳】筆頭 禪院 直哉


「あぁ。アイツが持ってっちまったからな」

 もはや真希の心は微塵も揺らがない。

 真依の望みを叶え、約束を果たす――ただそれだけ。

* * *

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