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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】


「真依」

 瞼を開くと、そこには光を返さない虚ろな瞳で倒れた半身がいた。

 手には、あらゆる物の硬度を無視し、魂を切り裂く事が可能な【釈魂刀】がいつの間にか握られている。


 ――「これだけは置いてくわ」


「起きて、真依……起きて」

 周りにはすでに、呪霊たちがジリジリと迫ってきていた。

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 懲罰部屋から出た直後――禪院 扇は振り返った。

 呪霊の消滅反応……真希も真依も呪具は持たせていない。

 それに、真依は呪力が乏しく、己の【構築術式】でも大したものは作れない。仮にできたとしても、あの傷では何もできないはず。

 扇は目を凝らす。そこに立つ存在に、背筋が震えた。


 身体が覚えている。忘れるよう努めた、あの――恐怖。


 甥である禪院 甚爾の持つ気迫と全く同じ……!


 ――術式解放【焦眉之赳(しょうびのきゅう)】‼


 折れた刀身から炎が渦を巻くようにして、扇の周りに顕現する。

「いいだろう! 今一度この手で! 骨の髄まで焼き尽くしてくれる‼ 来い! 出来損ない‼」

 真希は正眼で刀を構え、父の前に立った。

 そして――……音もなく、父の顔面を斬る。

 感覚が研ぎ澄まされ、室内だというのに、外を飛ぶ鳥の羽音すら聞こえた。


「始めるよ――……真依」


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