第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】
「アンタはあたしで、あたしはアンタなの」
アンタが血ヘド吐いて、努力して強くなりたいって願ったって意味ないのよ。あたしは強くなんてなりたくないから。
アンタが術式 持ってなくたって、あたしが持ってちゃ意味ないのよ。
「あたしがいる限り――真希、アンタは一生 半端者なの」
「分かったから! 戻れよ‼」
別にどうだっていい。
半端者だろうが何だろうが、それも含めて背負っていく。
居場所なんてないなら構わない。
あの家が真依の居場所になり得ないなら、自分が居場所になればいい。
二人で一人――上等だ。
そんなもので限界なんか決めさせない。
双子だからって……真依の存在を理由に何かを諦めるなんてしない。
「これだけは置いてくわ。他は捨てなさい」
バシャバシャと波をかき分ける真希に真依が手を伸ばす。その手を真希は掴んだ。
「呪力も何もかも、あたしが持って行ってあげるから」
掴んだ手を振り払われ、真希は手のひらを開く。
「……一つだけ、約束して。全部 壊して」
――全部だからね、お姉ちゃん
葦の房が一つ――それと、寄り添い合っていた幼い頃と変わらない笑顔を遺して――……。
・
・
・