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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】


 ハッと目が覚めて、一番に気づいたのは波の音。
 身体を起こすと目の前では海の波が寄せては返し、すぐ隣には妹の真依が膝を立てて座っていた。

「私の術式、もう大体 分かってるでしょ。でも、大きい物とか複雑な物は作れないのよ」

 一方的な話に、真希の頭をついてこない。それなのに、何を考えているのかは何となく分かってしまって……。

「あの人に斬られた傷もあるし、これを作ったら私 死ぬから」

 じゃあね。後は一人で頑張んなさい。

 まるで他人事のように言って、真依がジャブジャブと海の中へと足を踏み入れる。

「おい! 真依! 待て‼」

 大声を上げ、真希は必死で真依を引き止めた。

「何 言ってんだ。とにかく……戻って来い」

 あの家に……禪院家に自分たちの居場所を作る。そのために戦ってきた。呪霊が視えなくても、呪力がなくても……それでも たったこの一つの目的のためにやってきたのだ。

 そんな真希の呼び止める声に振り返った真依は、酷く静かな視線を返してきた。

「私、随分前から分かってたのよ。何で呪術師にとって双子が凶兆なのか」

 何かを得るには何かを差し出さねばならない――これは“縛り”だけの話ではない。

 痛い目をみて強くなるのも理屈は同じ。そういった利害が、双子の場合はいちいち成立しない。

 なぜなら、一卵性双生児は呪術では 同一人物としてみなされるから。

 神ノ原一門の双子も、二卵性である星也と星良は良しとしているが、詞織と詩音は凶兆として幽閉のうえに殺し合いをさせられている。

 分かる? と真依の瞳が瞬いた。
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