第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】
真希は持って来た布を解き、無骨な直刀を取り出した。星也の許可を得て、神ノ原 一門の忌庫から持ち出したもの。
――呪具【竜骨】。
刃で受けた衝撃と呪力を蓄積し、使い手の意図に合わせて峰から噴出する効果を持つ。
呪具の効力を知られていないアドバンテージを生かし、居合勝負に乗ったと見せかけ、二撃目・三撃目で斬る。
「なぜ、前当主が私ではなく兄(直毘人)だったか、知っているか?」
「テメェが子どもを殺せるクソ野郎だからだろ」
そう言って、真希も腰に【竜骨】を構えた――瞬間、扇が刀を抜く。その様を、真希の目はしっかりと捉えた。
【竜骨】から呪力を放出し、扇の刀の刃を叩き折る。真希は間合いを詰め、鋭く突きを繰り出した。
だが、扇が同時に刀を振り下ろす――折れたはずの刀身が炎で修復され、真希の右目から腹にかけてを一直線に斬られた。
「なぜ私が当主になれなかったのか……それは、子どものオマエたちが出来損ないだからだ」
膝をつき、そのまま倒れる。意識が遠のき、真希はそのまま意識を失った。
* * *