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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】


「こうする気やったら、始めっからそう言えや」

「オマエが先走りすぎなんだ、直哉」

 椅子に腰をかけ、机に足を乗せた直哉は、正面に座る従兄の禪院 甚壱をジロリと睨みつけた。

 これが分かっていれば、わざわざ東京まで足を運ぶ必要はなかった。【九相図】に敗北することも、星也や乙骨に屈辱を受けることもなかっただろう。

「確かに、伏黒 恵はオマエより幾分マシだ」

「あ?」

「五条家との関係の修復の契機として後押しする声も少なくない」

 かつて、御前試合で両家の当主が殺し合いを行ったことをきっかけに、禪院家と五条家の関係は悪化した。

 その関係を修復したいと思っている一派は、五条家当主 五条 悟の教え子である伏黒 恵を当主に据えることに全面的に賛成だ。

 確かに、現代最強と謳われる五条は、敵に回すより味方に取り込んでいた方が何かと有効だ。関係修復は甚壱も賛成である。

「だが、全財産を伏黒 恵に譲るというのは、俺たちも到底 納得できない」

「じゃあ、何をトロついとったん?」

「伏黒 恵は五条家だけでなく、加茂家次代当主 加茂 憲紀、神ノ原一門当主 神ノ原 星也とも友好な関係を築いている」

 理由もなく消せば、立場を悪くするのは禪院家。五条 悟が封印され、変動する勢力争いに遅れをとることになる。

「それは分かったけど、なんで今なん?」

「総監部の通達をろくに聞いていないな?」


 二.五条 悟を渋谷事変 共同正犯とし、呪術界から永久追放。かつ、封印を解く行為も罪と決定する。


「――利用しない手はない」


 ――五条 悟 解放を企てた謀反者として、伏黒 恵、真希、真依を誅殺する。


 甚壱の言葉に、直哉はクックッと喉を鳴らして笑った。

「実の娘も殺した方が、信憑性が増すもんな」

「あぁ。それにより、総監部からの信頼もより強固となる」

「でも、それでいいん? 扇のオジさんは」

 尋ねると、甚壱は「フッ」と鼻を鳴らし、出された茶を口に含み、コトリと茶器を机に置く。

「発案者は扇だ」

 その言葉に、直哉は「へぇ」と口角を上げた。

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