第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】
「――後悔が、俺に与えられた罰。後は正しい道を行け……交わした言葉は少なかったが……それが、俺の知る最高の教師の、最後の言葉だ」
その先に赦しが与えられるかは、自分の行動次第。
赦しなんかなくてもいい。
それでも自分は、あの人と、生きていて欲しいと言ってくれる者たちに恥じない生き方をしよう。
「後悔が罰、か……」
ポツリと呟いた楽巌寺に夜蛾の言葉が響いたのかは分からない。
言葉を重ねることも、追いかけることもしない楽巌寺をその場に残し、与は三輪と先を急いだ。
「【死滅回游】――もう、始まってるみたいだけど、どうします?」
「俺は京都に行く。2号と3号じゃ、【死滅回游】で戦うのは無理だ」
【死滅回游】の平定に協力するには、究極 メカ丸を復活させる必要がある。
真人との戦いで与の傀儡はほぼ失われ、残されたのは東京校が押収した三体だけ。そのうちの一体は宿儺の惨殺に巻き込まれて破壊された。
「なら、私もついて行きます。京都に行く道中にも呪霊は出るだろうし、人手は多い方がいいでしょう? あ、メカ丸は強いから、私の手なんかいらないかもしれないけど……」
眉を下げて力なく笑う三輪は、今までと変わらない態度で接してくれる。
「……赦し、か……」
「え?」
小さな呟きは聞き取れなかったのか。三輪が聞き返してくるが、与は「いや」と首を振る。
「ありがとう、三輪」
そう伝えると、彼女は一度 目を丸くして、嬉しそうな笑みを見せてくれた。
* * *