【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第17章 ✼••┈••✼蓬莱で、二人。✼••┈••✼
体を回復し過ぎれば、花のタオに負けて樹化が進む。
致命傷になるまでの傷は治した。
あとは花のタオを、自分のタオで押し込めればよい。
何度も意識を花のタオに持っていかれそうになる中で、頭の中で何度も呼ぶ弟の名前。
弔兵衛にとっては、この地獄のような神仙郷で守るべき大切な存在の名前。
「……桐馬……。」
そう呟いた時に、自身のタオが急に膨れ上がった。
タオは足りない細胞を繋ぐように、弔兵衛の全身を徘徊するように巡った。
「……………。」
弔兵衛はそこで、やっと意識を取り戻す。
目を開けると虚な景色に、花いっぱいの天井が見えた、
見覚えがある。
ここは孤蘭の部屋の天井だ。
その場所を思い出すと同時に、自分の体に他人の重みがあるのを感じた。
横たわっている自分に寄り添うように手を体を添えて、手で静かに抱きしめている。
その滑らかな絹のような肌と、香る花のよい匂いに覚えがあった。
ほんの少しだけ顔を動かすと、孤蘭の寝顔が弔兵衛の胸元にあった。