【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第12章 ✼••┈••✼牡丹の雫✼••┈••✼
「なにって…。朱槿が心配だから行かなきゃ…。」
急いで身支度をしている孤蘭に、蓮は不思議そうにクビを傾げた。
「孤蘭…、私たちはタオを潰されない限り死んだりはしない。」
身支度をしている孤蘭の手を止め、腰に手を回し蓮は言った。
「…そんなこと分かってるよ…。だけど朱槿だって痛い思いしたでしょ?」
「…相克のタオで攻撃されない限り、傷だってすぐ治る。」
孤蘭が朱槿を心配することすらおかしなことのように蓮は言った。
孤蘭は蓮の言葉に出会った人間たちを思い出した。
今だったら、何故彼らが自分に怒りを向けたのか分かる気がした。
孤蘭は蓮の手を解くと、彼の体を押した。
「……私が心配で朱槿に会いに行きたいんだよ。」
「だから、心配するほどでは…。」
孤蘭は蓮が言い終わらない内に彼に背を向けて部屋を出て行った。
蓮は少し呆然としながら、孤蘭の背中を見送った。
(……また人間に感化したか…。)
蓮は少し目を伏せて、今までの孤蘭を思い返した。