【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第10章 ✼••┈••✼人間と天仙と✼••┈••✼
なら、あれは何だったのだろう。
泥と汗にまみれて、ただ快楽を貪っているのかと思えば目を向けて口付けを繰り返す。
体液も体を支えている手に付いている土すら気にならず、ひたすらその体温を感じていた。
体の隅々まで確認したように付けられる情痕。
たまに彼はそのついた赤に愛おしそうに唇を押し付けていた。
蓮たちに作られた体が一瞬で塗り替えられたようだった。
初めて生きた人間と交わした房中に胸が騒いだ。
あの生気のこもった眼差しも、乱暴な行為も、下品な言葉も全部許せるくらいに、弔兵衛のことが頭から離れない。
(……こんなはずじゃなかった…、ただ蓮のために子種が欲しいだけだったのに…。)
出会った人間たちは知らない感情を孤蘭に押し付けてきた。
怒り、憎しみ、軽蔑、殺意。
そして仲間を殺された強い悲しみ。
あれはそう……、少しだけあの感情に似ていた。
牡丹(ムーダン)の房で初めて自分の母親の外丹花(ワイタンファ)を見た時。
それはもしかして、あの感情のどれかに似ていたかもしれない。
だけど蓬莱では覚えない感情だったので、そのまま忘れてしまった。