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彼はアイドル。

第2章 お手振り王子の誕生日。




バスルームから戻ってきた拓人は、プレゼントしたルームウェアにさっそく着替えていた。長身の彼が着ても少しゆとりがある絶妙なサイズ感で、だぼっとしたシルエットが、ステージ上の鋭い彼とは対照的な「家の中の拓人」を強調している。

「これ、マジで着心地最高。センス良い」

そう言って、彼はさっそくペアマグを手に取り、隣にどっかと腰を下ろした。
そこからは、うさみの独壇場だった。

「ねえ、聞いて! 原ちゃんとめめが並んで歌ってるの見た瞬間、もう涙止まらなくて……。あの二人が同じ画面にいるだけで、これまでのこと全部思い出して胸がいっぱいになっちゃった」

うさみは身を乗り出し、ペンライトを振っていた時の熱量をそのままに語り続ける。

「あと、ひよこ組の3人! 他のグループの先輩たちに弄られたり、可愛がられてる雰囲気が出てて、本当によかった……。親心じゃないけど、あの子たちが楽しそうにしてるだけでホッとしちゃったよ」

拓人は、マグカップを口に運びながら、楽しそうに瞳を輝かせて話すうさみをじっと見つめている。
自分のパフォーマンスだけでなく、自分が大切にしている仲間や、リスペクトしているSHOCKのカンパニーについても熱く語る彼女。

「光一くんとSHOCKメンバーのアンダルシアも、本当に圧巻だった。……正直、目はほとんどてらを追ってたけど、やっぱりあの空気感は特別だね。timeleszも、てらも、本当に最高の場所にいるんだなって改めて思ったよ」

自分の仕事を誰よりも深く理解し、愛し、そして一緒に楽しんでくれる。
長いキャリアを積み上げてきた彼女が、少女のように瞳をキラキラさせて自分の世界を肯定してくれることが、拓人にとっては何よりの報酬だった。
彼は、愛おしさが抑えきれないといった様子で、うさみの頭をぐしゃっと撫でる。

「……うさみってさ、本当にかっこいいよな。俺のファンである前に、この世界のファンなんだもんね。……ありがとね。俺も、あそこに立てて本当に良かったって思えるわ」




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