第8章 会社にて
二人が交際を始めてから、三ヶ月目に入った。
ヴィクトルは幸せの真っ只中にいながらも、悶々とした悩みもある。
そんな彼は今、本社のオフィスで将来の幹部候補を面接中だ。
相手は二十代後半の真面目な青年で、経営コンサルタントの実務経験もあった。
「――うん。経歴もテストの結果も申し分ない。とくにマネージャーとして事業再生プロジェクトを成功させたという点が素晴らしいな。君はすでに信頼に値する結果を出しているね」
「ありがとうございます」
机の向かい側にゆったり座る若者の瞳は柔和ながら、揺るぎない信念と自信がうかがえる。
こういう物怖じしないタイプは昔の自分を見ているようで、ヴィクトルも心が踊った。
「この業界のことはもう知ってると思うけど、チームワークはもちろんとして、その土台となるプレイヤー能力と働きが最も重要視される。うちは役員達が在学中に仲間同士で起業しているから、堅苦しくない会社だけれど、クライアントへの成果を第一に精力的に働いてもらう面はあると思うよ。君はそのへん大丈夫かな?」
親しみやすい話し方ながらも、はっきりと社の方針を提示すると、彼も確固たる表情で頷いた。
「はい。そのつもりで応募しています。この国の風土として休憩時間を長く取る傾向が高いと思いますが、それはかえって仕事のパフォーマンスをさげると思うので。その点御社の個人を尊重する柔軟な働き方に、僕はとても惹かれました」
「ははっ、そうか。俺も同じ考えだよ」
若者のしっかりした主張にヴィクトルは上機嫌に相槌を打ったが、ふと心に引っかかりも感じた。
すると相手はこんなことも明かし始める。