白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】
第18章 ● 白川のイタズラ その2 ○
月曜日の棋院は対局が集中しており、緊張感が漂っている。そんな独特の雰囲気の中、緒方は昼休憩に、白川に詰め寄った。
「おい!この前の箱、何なんだよ」
「え?喜んでくれるかと思ってさ〜」
「別にあんなのに興味はないし、よりによって星歌が開けたんだぞ!」
「マジで?それ、おもしろすぎるぞ!」
白川が盛大に吹き出した。
「1人で開けろって言っただろ?星歌ちゃんの顔、見たかったなぁ」
「誤解を解くのに苦労したんだぞ。こういうの見るんだ…って冷たい顔された」
「誤解も何も、お前は女子高生好きだろ?」
「違う!」
緒方の声が廊下に響いた。
「オレは女子高生じゃなくて、星歌が好きなんだ!」
近くで新聞を読んでいた桑原本因坊が、ゆっくりと顔を上げた。
「緒方くんは今日も勇ましいのう…」
周囲の棋士たちもチラチラと2人を見ている。緒方は顔の熱さを実感する。一方で白川は涙を拭いながら笑い続けている。
「大丈夫だよ。緒方が『オレは星歌が好きなんだ』って言ってたって知れば、星歌ちゃんも許してくれるよ。『最愛の人』のときみたいにさ」
「…うるさい」
その夜、白川は同棲中のフィアンセに昼の出来事を話している。
「でさ、星歌ちゃんが開けたってのは想定外だったんだけど!そのときの星歌ちゃんの顔見たかったなぁ」
「また緒方くんのことからかってるの?」
「DVD渡しただけで、こんなことになるとは思わなかったんだよ。まさか星歌ちゃんに開けさせるなんてさ。もしかして、中身に気づいて開けさせたんじゃないかとも思うよ」
「あんまりからかうと、あとでひどい目に遭うわよ?」
「あの緒方が慌てる様子を想像するだけでおもしろくてね」
「…それは確かにそうだけど」
フィアンセは思わず吹きだし、白川も楽しそうに笑っていた。