白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】
第2章 ● 想いが通い合う短い逢瀬 ◯
翌日、緒方と白川でカフェに行くが、星歌は休みだ。以前は寡黙なマスターだけが当たり前だったはずなのに、今では星歌のいないカフェは物足りないな…と思いつつ、緒方はカウンターに座る。星歌が休みであることは分かっていた。それでも、ひと目でいいから顔を見たい…緒方は強く思う。
「そういや最近、星歌ちゃん見てないけど、元気か?」
白川が何気なく緒方に聞く。
「ああ、元気だ」
「高3になったからって、バイト辞めてないよな?」
「辞めてない。成績をキープできるなら続けるそうだ」
「そうか…。とりあえず、お前が星歌ちゃんのこと大事にしてるみたいで安心したよ。オレの知らないことも、ちゃんと知ってるんだもんな」
「…そりゃそうだろ…」
緒方は照れ隠しで素っ気なく返すが、星歌のことを思い、心の中はあたたかい。
「星歌ちゃんのシフトも把握してたりする?」
「ああ、もちろん」
「そうか、じゃあ今日会えないのも想定内なのか」
「そうだな」
「でも、たまには会わないとな?星歌ちゃんが学校でイケメンに『一緒に帰ろう』とか『2人で勉強しよう』とか、誘われてたらどうする?」
白川がニヤリとからかうように言う。…同級生に…?星歌がそんな…。でも、星歌のイトコの健くんも前に、星歌に告白したいヤツから相談されると言っていた…。緒方の焦りが顔に出る。それを見て白川も慌ててしまう。
「おいおい、冗談だよ、そんな顔するなよ…」
「オレだって会いたいけどな、タイミングがな…」
「家、近所なんだろ?ちょっと顔見に行けばいいだろ?」
「そうだな…」
…確かに、第5局の前に星歌の顔を見たいな…。あの笑顔はオレに力をくれる。会うとしたら今日しか時間はないが、大丈夫だろうか?少しでいいから、会いたい…。静かにコーヒーを飲む緒方の胸中では、熱い想いが湧きあがっていた。