白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】
第15章 ○ 白川のアドバイスと初恋の話 ●
棋院近くのカラオケボックスで、星歌と明日美は久しぶりに顔を合わせた。
「…明日美、プロ試験、残念だったね…」
星歌は恐る恐る切り出すが、明日美は意外にも明るい顔だ。
「ううん!今年は本当に手応えあったんだ!来年こそ絶対受かる!」
「よかった…元気そうで」
拳を握って笑う明日美を見て、星歌はホッと胸を撫でおろす。
明日美はマイクを振りながら言う。
「星歌の恋バナ聞いたらもっと元気出るから!緒方先生とのラブラブ話、ちょうだい」
「そんな…話すほどのこと何もないよ…」
「えー!絶対あるでしょ!夏休みはどうだったの?お泊まりとか、した?」
「お泊まりなんてしないよ!」
明日美もゆみちゃんも、なんでそんなに大胆なの…?精次さんと泊まるなんて…恥ずかしいよ…。そう思う星歌の顔は真っ赤になっている。
「そうなの?だって和谷と進藤が、棋院の玄関で2人がラブラブだったって言ってたよ?雨で濡れた星歌に、緒方先生が自分のジャケットを羽織らせてたって」
「うん…そういうこともあった…」
…精次さんのTシャツを貸してもらった日だ。あのとき、嬉しかったけど恥ずかしかったな…。
「最近はどうなの?絶対何かあるでしょ?」
明日美がニヤリと星歌を見る。星歌は初恋の人の話を思いだす。
「この前、精次さんが、私の初恋の人をすごく気にしてて…」
「何それ!聞きたい!」
「私の初恋って3歳くらいのときで、背の高いメガネのお兄ちゃんが手をつないでくれたって記憶しかないから夢かもしれないの。でも精次さん、真剣な顔で聞いてた」
「星歌ってメガネの人がタイプなの?」
「別にそんなことはないよ、たまたまだよ」
「そっか」
「少し前に、精次さんの元カノの件で私、泣いちゃって…」
「え!まさか元カノと揉めたの?」
「ううん、ただの私のヤキモチ。過去に嫉妬してモヤモヤしてた。だから、精次さんが私の初恋を気にしてくれたことが少し嬉しかった。精次さんもそんな感情を持つんだって」
「もう!私までキュンとする!星歌が幸せそうで私も幸せ!」
星歌も明日美も明るい笑顔を見せる。カラオケボックスには、にぎやかな声が響いていた。