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白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第13章 ○ 秋の入口は波乱の予感 ●


 昼休み、星歌とゆみは図書委員の仕事をこなす。人がいなくなると、ゆみが星歌の横に来た。
「ハッピーって、また星歌のネクタイピン着けてタイトル獲ったんでしょ?」
 ニヤリと笑うゆみに、星歌は頬を赤くして頷く。
「うん…」
「碁のことは分かんないけど、こういう裏話的なのあると、楽しいよね」
 ゆみは小声で続ける。
「ハッピー忙しそうだけど、ちゃんと夏にデートできた?」
「うん、大丈夫だよ」
「ハッピーって大人だから、旅行とか連れてってくれたりするの?豪華ホテルに泊まったり?」
「そんな、泊まるなんてしないよ!」
「えー?そうなの?つまんない、大人な恋バナ聞きたかったな」
「…大人な恋バナ…」
 星歌はドキドキが止まらない。それってキスとか、それ以上とか…?ダメだよ、そんなの恥ずかしい!
 ゆみはさらに声を潜める。
「ハッピーは…我慢してくれるの?」
 その言葉に星歌はポカンとする。
「我慢…?何が?」
「そんな…言わせないでよ…」
 自分で言いだしたというのに、ゆみの顔は赤い。だが好奇心には抗えず、小さく続ける。
「彼氏が同級生だと『ヤリたい』ってしつこい、みたいによく聞くから…」
 …え…?もしかして、精次さんも我慢してるの…?私、高校生だからまだ早いと思ってたけど、精次さんは違うの…?
「…私、我慢させてるのかな…」
 星歌の呟きに、ゆみは慌てて手を振る。
「そんな!そういう意味で言ったんじゃないよ。だって高校生なんだし、ハッピーは大人の余裕で待っててくれてるんじゃない?」
「それなら…いいけど…」
 星歌は唇を噛みながら、ごくわずかな不安を胸の奥に残している。
「私が変なこと言ったから、ごめん。でも、本当に大丈夫だと思うよ。だって、ちゃんと伯父さんにも挨拶してるんだし、星歌のこと大事にしてるよ」
「…うん」
 ゆみの言葉に星歌は頷くが、心の片隅には、棘を抜いたあとのような鈍い痛みが残っていた。
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