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白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第4章 ● ハッピー緒方ブームとおうちデート ○


 十段を獲得した緒方は、久々に心穏やかなフリーの平日を迎えた。星歌は学校があるからな…今日は1人でリフレッシュだと、街へ繰り出す。  
 まず向かったのは行きつけの熱帯魚店。色とりどりのグッピーやネオンテトラが泳ぐ水槽を眺めていると、隣にいた中年の客がチラッと緒方を見て声を掛けてくる。
「…あの、緒方棋士ですよね?」
「はい、そうです」
「十段おめでとうございます!」
笑顔で握手を求められる。見ず知らずの人に声を掛けられるなんて…。タイトル獲って、ちょっと有名になったか?こういうのも悪くないな…と内心でニヤリとする。
 昼食はよく行く定食屋へ。会計のレジ前でサラリーマン風の男性が興奮気味に話し掛けてくる
「緒方十段ですよね? 最終局、最高でした」
「…ありがとう」
 緒方は軽く会釈するが、タイトル獲得の効果はずいぶん大きいな…と顔が少し熱くなる。だが、囲碁が盛り上がるならいいだろう…と誇らしい気分で店を出る。
 その足でコンビニに立ち寄ると、若い店員が目をキラキラさせて言う。
「囲碁の緒方棋士ですよね? 十段おめでとうございます!バズってますよね!」
「…ああ、ありがとう」
 クールに返すが、少し騒がれすぎだな…と内心で苦笑い。コンビニを出ると、近くで制服姿の女子高生たちがヒソヒソと話す声が聞こえる。
「あの人、ハッピー緒方じゃない?」
「やば、めっちゃかっこいい!」
「ネクタイピンの彼女、どんな人だろ?」
 …ハッピー緒方…その呼び方、どうにかならないのか…。顔がカッと赤くなる。白川のヤツ…と、心の中で毒づきつつ足早に帰宅する。
 自宅のソファに腰を下ろし、ハッピー緒方ってどれだけ広がっている?と、スマホで「ハッピー緒方」を検索すると、緒方の対局姿にキラキラのエフェクトをのせた画像や、碁石風のアクセサリーを着ける「ハッピーチャレンジ」が次々と出てくる。何だこれ…完全にミーム化している…。このブームが落ち着くまで星歌と出かけられないんじゃ…?と、不安になる緒方だった。
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