第12章 悦楽の反転
「先生! あの、この子がぶつかってきて……っ」
「こいつのクソ個性のせいで、俺がこいつになっちまってんだよ!!」
の姿をした爆豪が、相澤に食ってかかる。
相澤は生徒から個性の詳細――数時間から半日程度で自然に解けること、強制解除は不可能であることを聞き出すと、深く、重いため息をついた。
「……事情は分かった。二人とも、指導室へ来い」
「はぁ!? 寮に帰らせろよ!!」
「黙れ。爆豪、お前はその姿で暴れるな……少し話をするだけだ、ついてこい」
相澤に威圧で促され、二人は歩き出した。
「勝己くん……お願いだから、もう少し女の子らしく歩いて……っ」
「るっせぇ! 慣れねぇんだよ、この体がッ!!」
指導室への道すがらの姿をした爆豪が、ガニ股で歩いたりする姿を見るのが恥ずかしくてたまらなく注意するが聞いてくれない。
指導室に着くと相澤は二人を対面のソファに座らせた。
その鋭い眼光は、入れ替わった二人の不自然な挙動を克明に捉えている。
「……体調はどうだ。個性の影響で、身体に異変は起きていないか」
相澤の問いかけに、二人の身体が同時にビクリと跳ねる。
爆豪の身体に入ったは、内側からせり上がってくる未知の熱情に必死で耐えていた。
少年の肉体は普段の自分よりもずっと血気が多く、ドクンドクンと脈打つ下腹部が熱くて仕方ない。
爆豪が持つ闘争心と性的な衝動が、中身のを内側から焼き焦がそうとしていた。
一方、の身体に入った爆豪もまた地獄を味わっていた。
少女の身体は、昼間に心操から注がれたばかりの熱い残滓を抱え、最奥がキュウキュウと疼き、男の熱を欲して止まらない。
「……っ、クソ……ッ!! なんだよこれ、……この身体、……さっきから勝手に熱くなって……ッ!!」
爆豪がの唇で熱い溜息を漏らす。
自分の身体が男を欲して疼く感覚を、体感するという耐え難い屈辱。
二人は互いの姿を見つめながら、あまりにも違う「疼き」の正体に顔を真っ赤にして戸惑っていた。
相澤は、脂汗を流して固まっている二人を見て、すべてを察したように短く息を吐いた。