第2章 【虎杖】永遠じゃなくたって
『悠仁くん…ワガママを言ってもいいでしょうか?』
40年前のある日。
八重さんは俺を見つめてた。
初めは驚いたように。
次に悲しそうに。
そして何かを決したように。
優しく微笑んで言われた言葉。
ワガママなんて八重さんから言われるのは初めてで。
俺は、それがすごく嬉しかったんだ。
「何?何?八重さん、珍しいね?てか、初めて?八重さんのワガママ」
「そうですね……あの…こういうのを改めていうのは、恥ずかしいのですが……悠仁くんが死ぬまで、一緒にいてもいいでしょうか…?」
ほんの少しだけ頬を染めてそう言われれば、
その言葉がプロポーズのように聞こえて、
顔が熱くなるのを感じた。
(やっと俺を見てくれた)
そう思って一人で舞い上がってた。
手に入れた気になっていた。
八重さんはただ
俺の異変に逸早く気付いて、
これから来るであろう苦しみを理解して、
呪いをかけただけなのに。
俺が壊れてしまわないように。
俺がどこかへ行ってしまわないように。