第16章 運命的な再開
(クソ……ッ、呪力で守るのが遅れた…っ!スピードもパワーも、さっきまでとは別人…!)
赤血操術。その術式にカラクリがあるのは明白だ。
血を操る──仮にその範囲が形状や運動だけでなく、体温・脈拍等の"血中成分"まで自由に操れるのだとすれば。
「ドーピングか……!」
まさか、こんなところまで似てくるとは。
津美紀が呪われたあの日。
ナマエも自分自身に術式を使用し、ドーピング効果で身体能力を底上げしていたと聞いた。
やはりナマエの術式と加茂さんの赤血操術は、リスクの質こそ違えど、その用途は驚くほど酷似している。
「よく気づいた。…だが、俗な言い方はやめてほしいね」
自身の呪力が付与されたモノを自在に操る。
そんな優れた術式を持つナマエだが、己に術式を付与して強化を図れば、それは自らを過度に呪うことと同義。
しかし加茂さんは、媒介が体内にある"血液"である分、ほぼノーリスクで同等の恩恵を享受している。
その理不尽なまでの差に、俺は奥歯を噛み締めた。
(……クソ、厄介だな)
圧倒的な速度とパワー。
間合いを置いて次の動きを伺う隙すら作れない。
今の俺にできるのは、ただ向かってくる加茂さんの攻撃を、トンファーで受け流すことだけだった。
「ッ……、」
しかし、そのトンファーすらも軽くへし折られてしまえば、次の一手は"受け流す"ではなく、死ぬ気で躱しきらなければならない。
「近接戦でここまで立ち回れる式神使いは貴重だよ。……成長したね、嬉しいよ」
「……ちょいちょい出してくる仲間意識、何なんですか」
「シンパシーさ。君はゆくゆく、御三家を支える人間になる」
使い物にならなくなった木の棒を投げ捨て、馴れ馴れしい声音に苛立ちを込めて反論する。
だが加茂さんは、俺の境遇を勝手に自分と重ね合わせ、同調を強いてきた。