第16章 運命的な再開
「いいぞ、苧環!! その調子だ!! もっと自分の心に素直になれ!!」
「ちょっと黙っててくんない!?お前のせいで、苧環の体調悪くなってんだぞ!?」
項垂れる私をひょいと担ぎ上げた虎杖くんは、そのまま木の近くまで移動すると、その幹に私の身体をそっと預けてくれた。
けれど、東堂さんからの謎の熱いエールを受け、私の気分は いよいよドン底まで落とされてしまった。
「───さて。準備は整ったな、ブラザー!!俺を取るか、ミス・苧環を取るか、白黒ハッキリ決めようじゃあないか!!」
「ホント、お前はさっきから何言ってんの……?」
目を閉じても意識は飛ばせず、むしろ視界を遮断したせいで、さっきの東堂さんの忌々しい妄想が鮮明な映像となって脳内でリピートされる。
(あぁ……気分が悪い…。……はやく、恵くんに会いたい)
はやく恵くんに会って、その腕の中で、東堂さんの気味の悪い妄想を全て掻き消してほしい。
そう考えながら恵くんの確かな体温を思い出し、意識が微睡みの中へ沈みそうになった───その時。
『ナマエ!お前は虎杖と合流しろ!恐らくソッチに東堂がいる!』
「………!!」
別れ際に聞いた恵くんの言葉が脳裏に響き、私はハッと目を見開いてその場で勢いよく立ち上がった。
「苧環!?」
「フフ……流石だ。それでこそ、俺と同じ熱量でブラザーを想うに相応しい乙女」
そうだ────私は、恵くんに託された。
虎杖くんを東堂さんから守ることが役目なのに、それを放棄して、つまらない妄想によって戦線離脱なんてありえない。
「……さっき言ったでしょ。虎杖くんを傷つけたいなら、先に私を───」
──────パンッ
「───え?」
先に私を倒して。そう言い切ろうとした、はずだった。
それなのに、私は今、なぜかまったく見覚えのない場所に立たされている。
「なっ…、なんで!?」
十中八九、東堂さんの術式だろう。
でもその術式がなんなのか、発動条件が何なのか、今の私に分かるはずもない。
「もう!!!ほんっっっとうに、苦手!!!」
ひどい妄想癖があるところも、私を邪魔者扱いして勝手に仲間外れにするところも。
私はその場で地団駄を踏んだ後、全速力で走り出し、再び虎杖くんの気配を探し始めた。