第16章 運命的な再開
「フフ、コイツは昔から鈍いやつだったからな。
俺という"親友"が常に隣に居たばかりに……。あの時は済まなかった、ミス・苧環……」
照れくさそうに頬を掻きながらそう言った東堂さんを、私と虎杖くんは変わらず冷めた視線で見守った。
「……虎杖くん、本当にこの人と知り合いじゃないの?」
「いやぁ……それがマジで知り合いじゃねーの。さっき会ったばっかなんよ」
「えぇ……」
じゃあやっぱり、さっきからこの人が繰り広げている話はすべて、一ミリも現実味のない妄想なのだろう。
昔から、とか、あの時、とか。東堂さんはまるで私たちのことを全て理解しているとでも言いたげに話を進めてくる。
(……ていうか、私が恵くんと"妥協"で一緒にいるわけないのに…!!!)
あの発言だけは、何としても撤回させなければならない。
私が、私たちがどれだけ遠回りをして、やっとの思いで心を通わせ合ったのか────それをこの人に解らせてやらなければ、絶対に気がすまない。
「私、いよいよ東堂さんのこと苦手になりそうです」
「良い……。仕方のないことだ。俺がブラザーを独占してしまったばかりに、お前には寂しい想いをさせたからな……」
「いい加減、その変な妄想やめてくれませんか!?」
声を荒らげて叫んだが、東堂さんには涼しい顔で受け流された。
彼の話を聞いていると、どちらが現実でどちらが嘘か、だんだん分からなくなってきてしまう。
もはや、"そういう術式"でも持っているのかと疑いたくなるレベルで、彼の妄想の質が、高すぎる…!!
「私まで、頭変になりそう……っ」
「苧環!!しっかりしろ!!東堂の妄想に呑み込まれるなーーっっ!!」
「うぅ……」
貧血のような目眩に襲われ、クラリと身体から力が抜ける。
そんな私を虎杖くんは慌てて支えてくれたけれど、その善意すらも、東堂さんの妄想のブースト剤にしかならなかった。