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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第11章 それぞれの役割


「……オイ、その顔やめろ」
「え…、え、どんな顔??」


先に指摘した恵が、逃がさないと言わんばかりにナマエの横に並び、片手でその柔らかな頬をぐにぃ、と潰した。


「俺たちのためなら、自分はどうなってもいい。って顔」
「…っ」
「当たりか?」


ピクリと固まったナマエを見て、恵の眉間に険しい皺が寄る。

さすが、僕と同じくらいナマエの傍で時間を浪費しているだけのことはある。


「いいわけねぇだろ、馬鹿」
「いてっ」


恵は不器用な手つきで頬を解放し、流れるような動作でナマエの額に鋭いデコピンをお見舞いした。

もはやそれだけでは足りない気もするが、今はその青臭い説教に免じて良しとしよう。


「わかったら二度とその考え方すんな。次やったら暫く口聞かねぇぞ」
「やっ、やだ……!それは絶対、やだ!!」


子供のように狼狽えるナマエを見て、僕はやっと、坂の下から足を踏み出した。


「ナマエ」


名を呼ぶと、ナマエは涙を孕んだ瞳で僕を見上げた。


お前が僕の知らない場所で勝手に死ぬくらいなら。

勝手に自分の命を諦めることをやめないなら。


僕は何度でも、お前を言葉で呪ってやる。



「僕たちのために、ちゃんと生きてよ」



呪術師の口から出る言葉は、すべてが呪いになり得る。

だから大抵の術師は遺言も、約束も、安易には交わさない。


それでも、ナマエが自分で自分を殺す呪いをかけるくらいならば、僕が縛って生かす方がマシに決まってる。


恵という外側の支えがあるならなおのこと。


僕は内側からその精神を侵して、壊して、愛して、僕の手の届く範囲で踊らせる。




「ナマエ───……約束、して」
「っ……」




そう言って小指を差し出せば、ナマエは拒めない。


僕が好きで、恵が好きで。


だからナマエは、僕たちの"お願い"を何があっても見逃さないし、拒まない。




────僕が丹精込めて育ててきた、世界で一番可愛い娘なんだ。




これくらいの呪い、屁でもないでしょ。
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