• テキストサイズ

天狐あやかし秘譚

第93章 怪力乱神(かいりきらんしん)


☆☆☆
同時刻、右翼では、左前や九条と妖魅たちとの乱戦が続いていた。

「ちょ、あの麒麟!なんとかならないんですか!?」

九条は背後にいる土門と左前に対して、金鞭を振るいながら叫びをあげる。
「ちょっと待っとれ!今やっとるわ」
左前もまた、水鏡から何条もの水刃を打ち出しながら大声で応えた。

あまり戦闘が得意ではない土門を守る形で二人はそれぞれの武器を振るっている。ちょうど九条の背後、左前の正面には麒麟に乗っていやらしい笑い声をあげるクチナワがいた。

もちろん二人は麒麟に乗っているクチナワにも、麒麟そのものにも何度も攻撃を仕掛けている。しかし、麒麟はあまりにも素早く、また、こちらの攻撃を予知しているのではないかと思うようなほど、正確な動きで、その悉くを躱してしまう上、たとえ当たったとしても殆どの術式は無効化されてしまう。

こちらが攻撃しあぐねている間にも、クチナワは大量の妖魅を生み出し続け、それらが絶え間なく攻撃を仕掛けてくる。このままではこちらがジリ貧なのは目に見えていた。

ー幸いなのは、大物は一度倒せば同じ『モノ』は早々連続して呼べないこと・・・くらいか?

九条がそう分析していたのは当を得ていた。クチナワの神宝・蛇肩巾(へびのひれ)は基本的には地を這う小動物を呼び出し操る神宝である。だが、その神力をうまく引き出すことで、獣に類似した『幻獣』の類も呼び出せる。しかし、制約がいくつかあった。

1つ目は呼び出せるものの大きさである。
彼が呼び出せるのは大きくてもクマ程度までだ。従って竜やヤマタノオロチのような巨大に過ぎる『幻獣』を呼び出すことはできない。

2つ目は呼び出せるものの数である。
通常の獣であれば万を超えてもなお呼び出せるが、幻獣のたぐいだと、小物でせいぜい数百、大物だと2〜3くらいだった。それ以上呼び出すと、コントロールから離れてしまうのだ。ちなみに、術者が意識を失うと、通常の獣はコントロールは失うものの、その場に残り続けるが、幻獣は消えてしまう。
/ 1137ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp