第1章 マグル好きのお嬢様
「ルーア様は何故そこまでマグルが好きなのですか」
「ん、? それ聞いちゃうかー、聞いちゃうのかー! マグルはすごいんだぞー、魔法なんて使わなくとも火をおこしたり水を出したり……魔法使いが魔法に頼ることを魔法を使わずに生きるんだ! どうだ、すごいだろ!?」
「申し訳ございません、私にはよくわかりません」
ハーヴィンの問に、若干ニヤリと笑いルーアは答えた。だが、純血主義の家で長年務めるうちに、ハーヴィンは完全に純血主義となっていた。そんなハーヴィンにはどんなマグルの魅力を聞かされても、マグル好きになることはないだろう。
「ルーア様、貴女はそろそろホグワーツに入学することになるのですよ? 買ってきた教科書の一つや二つ読まれてはどうですか」
「そんなのもう読んだに決まってるだろ。私は、家にある本の殆どを読むようにしているんだ。教科書は全部読んだ」
「……嘘は良くないですよ」
「嘘じゃない!!」
ルーアは、所謂本の虫というやつで、読書という行為が好きだ。エイベル家にある数千、もの本を幼い頃から読んでおり、殆どが頭に入っているという。
「対象物を浮遊させる呪文はなんですか」
「おい!! 何で信じないだよ! ……浮遊せよ、ああ__ウィンガーディアムレビオーサだったか」
「はあ、わかりました。ですが! もっと姿勢を正し、美しい姿でいるように!! 今のルーア様はエイベル次期当主としてあるまじき姿です」
漸く説教がが終わったとばかり思っていったルーアは、目を丸くした。なんと! また説教が一から始まっている。どうしてこうもハーヴィンは説教が好きのだろう。否、老婆は皆そうな気がしてならない。と、ルーアは頭を抱えた。