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ハリー・ポッターと調教師見習い

第1章 マグル好きのお嬢様



「マグルってすごいよな……」

 持っていた本を読み終わり、ポツリと呟く。程よく窓から差し込む日差しが心地よく、眠気を誘った。

 そんな時に、コンコン、と部屋のドアを叩く音が聞こえる。

 全く、心地の良い時間を過ごす事すら許されないのか。そうルーアは心の内で悪態を付きつつ、無意識の内に返事をした。

「ルーア様、失礼しますね。今日はお勉強をするとのことでしたので、お紅茶をお持ちいたしました。」

 ハーヴィンという年老いた屋敷しもべ妖精が、器用に片手でお盆を持って入ってきた。

「なっ……!!?」

 私の部屋に入った瞬間、顔を歪める。自他楽にベッドに寝転ぶ私を、ゴミを見るような目で見、耐えられたないとばかりに口を開いた。

「私は、私はルーア様の“お勉強をする”という言葉を信じて、最低限邪魔にならないように務めていたのですよ!? それなのに、それなのにお嬢様はッ! そのようにベッドに寝転び、あまつさえマグルなんぞの本をお読みになるなんてッッ!!! そもそもルーア様にはエイベル家の次期当主としての自覚が足りないのです!!」

 耳を塞ぎたくなるほどのキンキン声でいつも通り説教が始まり、彼女の手から、食器がカチャカチャと音を上げた。ルーアにとって、物心ついた頃からハーヴィンの説教を聞き慣れてため、はいはい、と右から左に聞き流す。

「__が____で______であり、__そもそも____とは____ってルーア様聞いておりますか!?」
「あー、うんうん。聞いてる聞いてる」

 エイベル家は、純血主義の家で、生まれて11年経ってルーアも完全な純血主義になっているはずだった。だが、彼女は生粋のマグル好きだ。

「はあ、なぜルーア様はこんな人になってしまったのでしょう……」
「こんなって何だよ!」
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