第3章 はじめましての訓練
だが、その後すぐに異変が起きた。
の顔が急に青ざめ、膝が震えた。
背中の巨大な紅翼がばさばさと音を立て、制御できなくなっていく。
「っ!!」
ホークスが慌てて抱き止める。
「ちゃん!? 大丈夫か!?」
は苦しそうに胸を押さえて答える。
「……すごい……体が……熱い……
息が……しづら……い……」
委員長が険しい表情で研究班に指示を飛ばす。
「やはり……完全発現型は子供の体では負担が大きい!
ホークスくん、すぐにから離れろ!個性が暴走する!」
「離れねぇよ!こんなのほっとけるわけねぇ!」
ホークスはそのままをしっかり抱き寄せた。
「ちゃん、聞こえるか?
落ち着いて!呼吸合わせよ!ほら、せーので……」
ホークスは自分の胸にの手を置かせ、
自分と同じリズムで呼吸をさせた。
「すー……はー……
、ゆっくり……そう、いい子だ……」
時間にして数分ほど。
しかしには永遠のように長い時間だった。
大きな翼は徐々に光となって消え、
ようやく体から重さが抜けて、呼吸が安定し始める。
ホークスはの頭を優しく撫でた。
「よく頑張った……怖かったな。
でも、もう大丈夫だ」
震える声では呟く。
「……こんな力、こわい……
ホークスを守りたいって思っただけなのに……」
ホークスはの手を握り返す。
「その“守りたい”って気持ち、
オレはすげぇ嬉しかったよ」
「……」
「でもな。
の体はまだ子供だ。
本気のコピーは“命削るレベル”で負荷がかかる。
だから……すぐに強くならなくていい。
一緒に練習して、少しずつ扱えるようにしようぜ」
の目に涙が溜まる。
「……うん……ホークスがいるなら……できる……」
「もちろん」
ホークスは笑った。
「オレはずっと、君の味方だから」