第3章 はじめましての訓練
空中訓練を始めてから数週間。
は少しずつホークスと同じように飛べるようになっていった。
滞空時間は短いが、羽根の使い方はかなり上達してきている。
しかし——
この頃、公安内ではひとつの疑問が浮かび上がっていた。
「のコピー能力の“条件”は何なのか?」
ホークスの個性はコピーできた。
ジーニストの糸も一度だけ成功した。
だが、他の公安職員や一般市民の個性をコピーしようとすると、何も起きなかった。
原因が分からず、委員長は研究班に調査を依頼した。
そしてある日——
その“条件”が予想外の形で判明する。
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ホークスとはいつものように訓練場で飛行練習をしていた。
汗で額が濡れるくらい飛び回った後、
は地面に座り込み、息を切らしながらホークスに手を伸ばした。
「はぁ……はぁ……ホークス、ちょっと休憩……」
「いいよ、よく頑張った。水飲みな」
ホークスは水筒を差し出し、の隣に座る。
いつも通りの、穏やかな時間。
——その時だった。
「ホークス、羽根……痛くない?」
がふと彼の翼を見つめ、眉を寄せた。
ホークスの羽根の一部が切れていたことに気づいたのだ。
「ん? あーちょっとぶつけただけ。治るから平気」
「……治ってほしい……」
がそっとホークスの背中に手を当てた。
その瞬間。
――ぱちんっ。
赤い光がルイの掌に灯り、
ホークスの翼とよく似た光の羽根が一気に広がった。
しかし、これはいつものコピーと違う。
翼の形状が本家よりも大きく、しなやかで、
羽根の数も圧倒的に多かった。
ホークスが瞬きする。
「……おいおい、ちゃん。なんだそれ。
完全にオレの“上位互換”できちゃってるじゃん……?」
は驚きに震えながら翼を見つめた。
「え……なんで……?
さっきまで普通のコピーだったのに……」
そこへ委員長と研究班が駆け寄ってくる。