• テキストサイズ

【呪術廻戦】禪院直哉と返命の妻【R指定】

第5章 白銀の面影と漆黒の断絶








五条悟が仁美の存在を初めて知ったのは、本家の座敷で何気なく交わされた会話だった。





「神戸の財閥の娘が“呪力で倒れる”らしい。一度見てこい。……五条家との縁は作っておくべきだ。」




悟は縁側に寝転がって本を読んでいたが、その指先だけがぴたりと止まった。




「はーいはーい……はぁ。面倒くさいなぁ。」




返事は軽い。

だが命令は命令だ。

放置すれば面倒が増えることも悟はよく知っている。




軽く伸びをし、「はいはい、行きますよ」と呟いて屋敷から出ていった。








ーー

ーーー





仁美の実家は、神戸らしい瀟洒な洋館だった。





重厚な木扉、磨かれた真鍮のドアノブ、季節の花が飾られた広いエントランス。

通された応接間は、大きな窓から柔らかな光が差し込んでいる。






そして、そこにはすでに、仁美が座って待っていた。





深い肘掛け椅子に腰掛け、両手を膝の上にそっと置いて。

白い指先はわずかに震え、呼吸は浅く、頬の色は悪い。


/ 108ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp