第7章 7話
それからは年末の撮影が立て込んだこともあって
考える暇もないほどで良かった
某テレビ局
「あっ!!ゆり!」
ちょこちょこ歩く後ろ姿に癒しを感じたくて呼び止める
振り向いたゆりは最初驚いた顔を見せた後、ふにゃりと笑って近寄ってきた
「たいちゃん。なんだか久しぶり」
心底嬉しそうな顔をして手を上げてくるのでその手に自分の手を優しくぱんっ。とタッチする
「ほんとに。ゆり元気そうで良かった。忙しいだろ?」
「うん。たいちゃんもでしょ?」
そう言ってまだメイクされてないすっぴんの顔をじっと見て背伸びをしたと思ったら目の下を指先で触れられた
「……疲れてる顔してる」
多分隈かな
最近寝れてないからかな
あれから二宮家にも行かずに
珍しく自宅から仕事に行ってて
「…そうだね。ちょっと疲れちゃったかも。」
「……今日。何時まで?一緒に帰らない?」
優しいゆりに
「…………うん。
ありがとう。
連れて帰ってくれる?」
また癒されて
「和さんにも会いたい。…もう会えないのは限界かも」
「ふふっ。……私も。たいちゃん居ると嬉しい。寂しかったから」
にこにこ笑うゆりにくしゃくしゃになった感情が洗われていく気がして
何がなんでも早く終わらせたいなんて思った