第6章 6話
高速を降りて
夕焼けが綺麗で
あー。明日はいい天気なんかなって思って
チラッと隣に座ってるつーちゃんを見ると
窓の外眺めてて
それがなんか儚くみえる
「………つーちゃん」
「んー?」
こっちを見てくれないつーちゃんがもどかしい
赤信号で止まって
じっと見つめる
「今からさ。………俺の家こない?」
「……へ?」
やっと振り向いてくれた
視線が合うと
あー。
やっぱり我慢の限界かも
気持ちが止められなくなりそうで
「……さっきの約束。水族館でしたでしょ?」
キスできないもどかしさに
痺れを切らして目を細める
「…………わかった。いーよ」
頷いたつーちゃんが
まさか泣きそうになってるなんて
なんで気づかなかったんだろう
家に帰るのはいつもほんの一瞬で
殆ど家主の居ないこの空間は初めて他の人を引き入れた
「なんか生活感ない」
そう言われて思わず苦笑いする
「……それは。つーちゃんの家に入り浸ってるからじゃない?」
あとは二宮家が拠点だしね
紅茶を淹れてつーちゃんの隣に座るけど
全然気付いてなくてぼーっとしてて
「つーちゃん?やっぱり疲れちゃった?」
いつにも増して飛んでる姿に思わず心配する
「ううん。疲れてないよ。秋くん今日はありがとう。運転手してくれて」
でも、受け答えは普通なんだよな。
「いーえ。…なんか食ってくでしょ?何もないんだよなー。この家。出前でも頼むか」
そう言ってスマホで適当に頼んだら
「あ、お酒もないね!頼むの忘れた」
近くにコンビニあるかな?と自分のスマホで調べだすつーちゃん
「酒はいーよ。つーちゃん送っていきたいし」
「…別にいいのに」
「だーめ。俺に送らせて?あわよくば泊まるから」
まぁ。多分。そうなるけど
だってさ、このままつーちゃん帰しちゃって
普段帰らないこの家帰ったって
寂しくて死んじゃいそうになるしね
二宮家はちょっとバタついてる?というか。
今は俺の目関係なくいちゃいちゃしてほしいなって思って遠慮してるとこあるし