第5章 籠✳︎
逃げ惑う舌をぐるぐると追いかけられ、狭い口内ではどちらの舌が追いかけているのかわからない。
その時、
ガリッ
童磨はさやかの舌を少し噛んだ。
「いっっっ…!!」
生理的な涙が流れる。
口内に鉄の味が広がっていき、童磨はそれごと舌を吸い上げた。
不気味な水音が静かで広い部屋に響く。
ちゅ…ちゅ……ぢゅっっ
童磨の右手がさやかの頭の上にやってきて、艶のある焦茶色の髪を撫でた。
童磨は唇を離すとぺろりと舌舐めずりをして、左手に纏めてあるさやかの手首に力を込めた。
「んんーん!おいしいねぇ、さやかって!」
さやかの信仰心ががらがらと音を立てて崩れていき、それが恐怖の仮面を被ったハリボテであったことが強制的に思い出された。
だがこの1年ほど、さやかは生活に何の心配もなく、他の信者たちと過ごしてきたため、童磨を心から悪く思うことにも抵抗があった。
「あー、めんどくさいなぁ。考えなくていいよ。ただ俺のいうことを聞けばいい」