第4章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・後編】
地上に降り立った天使は、アキから手を離した。
土埃がおさまるのを待たずに悪魔は次の攻撃を仕掛けてくる。
その時、唸るようなチェンソーの音が聞こえ、デンジが飛び込んできた。
その後、悪魔はチェンソーマンによって倒され、現場の始末は他の部隊へと引き継がれた。
その日の夜、アキはマキマの部屋に今回の任務の報告に訪れた。
無表情のまま淡々と報告書を読み上げ、書類を渡す。
「…報告は以上です」
「今回の悪魔は、公安の人間を使って意図的にルルちゃんを殺させた。…内部事情に詳しい者が関わってる可能性があるね」
「そうですか…」
虚ろな目でマキマを見つめ返したアキは、心の中で"どうでもいい"と呟いた。
感情を失ってしまったかのようなアキにマキマは言った。
「…早川君の中の復讐心は、もう消えちゃったのかな?」
アキは微かに眉間にしわを寄せた。
「まさか…」
腰の後ろに組んだ手で、拳を強く握りしめる。
「復讐しますよ。…必ず」
「それは良かった。では、早川君は引き続きこれまで通りに任務をこなしてください」
「はい」
マキマの指示に、アキは機械的に返事をした。
「失礼します」
背中を向け、ドアノブに手をかけたところで動きを止める。
「…まだ、何かあるのかな?」
そう聞いたマキマに、アキは振り返らずに低い声で言った。
「曽根崎ルルの遺体は…どこにありますか?」