【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第6章 No One’s Yours
仁美を家の前で見送った黒尾は、そのままゆっくりと歩き出した。
ポケットの中で、スマホが震える。
画面を取り出した瞬間、黒尾の眉間に深い皺が刻まれた。
表示された名前を見ただけで、胸の奥に重たいものが沈んでいく。
「……………。」
無言のまま数秒、画面を見下ろす。
ため息を一つ吐いて、通話ボタンを押した。
「もしもし……。」
スマホから相手の声が漏れると、黒尾は更に顔を暗くさせる。
「まどかさん、俺には何も出来ないよ…。昨日はごめん。好きだって言って…。でもまどかさんが応えてくれなくて良かった。あんなこと言うべきじゃ無かった…。」
黒尾は足元も見ながら、ポツリポツリと言葉を選んだ。
「旦那と別れなよ……。そんな事言われても俺じゃまどかさんに何もしてあげれない…。」
『––––––。』
「…ごめん。まどかさんを好きだと思っていた気持ちがずっと違ってた…。分かってたけど、ハッキリさせなくてごめん。俺はまどかさんを助けてあげたいと思ってたけど、それは俺の役目じゃないよ。」