【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第13章 Beyond the Broken Line
(知らないクロが増えてる…。)
仁美 はゆっくりと頷いた。
「……じゃあ、少しだけ。」
黒尾は嬉しそうに目を細めて仁美を見た。
帰り道、黒尾は来た道ではなく、川沿いへと足を向けた。
夕日が沈みかけていて、水面が金色に揺れる。
「……あ。ここ、うちらの地元の川の上流だよ。」
仁美 が足を止めてそう言う。
黒尾は仁美の横顔を見た。
柔らかい光に照らされた 仁美 の目が、少し懐かしそうに細められている。
「似てるね、あの川沿いに。」
仁美 はそう言って、川岸へ視線を落とした。
風が吹いて、仁美の髪が揺れて、黒尾は一歩、その横に近づく。
「──クロ。黒猫、見つけた場所覚えてる?」
仁美 の声はゆっくりで、どこか子どもの頃の記憶を探るようだった。
黒尾はすぐに頷いた。
「……覚えてるよ。」
仁美の背中を見ながら、彼女が好きだと初めて気が付いた小学生の頃。
同じ背中を見ていた研磨が、自分と同じ気持ちを抱いていると知った中学生。