【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第13章 Beyond the Broken Line
台所を片付けていた研磨からも声も出た。
仁美 は遠慮の色を浮かべるが、黒尾がそれを上書きするように笑った。
「いいじゃん。久しぶりなんだからさ、三人で食べようよ。」
「……うん。じゃあ、一緒に。」
同意する声が出たのは、ほんの一瞬の揺らぎのあとだった。
研磨はキッチンの段ボールを閉じながら振り向く。
「家に何もないから……クロと 仁美 で買ってきて。」
言われた瞬間、黒尾が当然のように玄関の鍵を手にする。
「よし、じゃあ行こ。仁美。」
仁美は戸惑いながら一瞬研磨を見た。
研磨は仁美の視線に気付いているのに、目を合わせない感じだった。
黒尾の笑顔と伸びた手を見て、仁美は少しの気まずさを覚えながらも、黒尾の後に着いていった。
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家を出た直後は、仁美の胸にまだ僅かな戸惑いが残っていた。
けれど隣を歩く黒尾の横顔はまるであの高校時代のまま、何ひとつ変わっていない笑顔だった。