【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第13章 Beyond the Broken Line
「……研磨、大学、どう?忙しい?」
「ん……まあ、ね。でも、一人が楽。……誰にも乱されないから。」
それは研磨らしい言葉だったが、どこか意味を含んでいるようにも聞こえた。
仁美 は周りを見回しながら笑う。
「でも、にぎやかに見えるよ? なんか……研磨の部屋って感じ。」
「そう?俺は、仁美 のほうが“変わった”って思ったけど。」
研磨は少しだけ 仁美 に近づき、その短くなった髪を見つめた。
「似合ってるよ。前より、ずっと。」
その声が、やさしくて。
あの夜の終わりを思い出すほどに、やさしくて。
仁美 は胸の奥がちくりと痛むのを感じた。
「……ありがとう。研磨の髪も、伸びたね。ちょっと……大人っぽい。」
研磨はわずかに目を伏せ、照れ隠しのように肩をすくめた。
「……そ。大人になったんだよ、俺も。」
何気ない言葉なのに、その変化が二人の距離をゆっくり塗り替える。
仁美は思わず研磨から目を逸らした。