【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第12章 Triangular Midnight
研磨は短く息を吐き、決定的な言葉を落とした。
「──クロと 仁美 は、一度離れた方がいい。」
心臓を抉るような言葉に、黒尾の呼吸が荒くなった。
否定したいのに、否定できない。
研磨の言葉は容赦がなく、けれど優しかった。
「このままだと、二人とも壊れる。」
そう目を伏せて言った研磨に、黒尾は自分の行動を振り返った。
────
黒尾が病院の自動扉をくぐった瞬間、消毒液の匂いが鼻を刺した。
受付の奥、カーテンで仕切られた処置室の前にまどかがいた。
顔に薄く擦り傷があり、包帯が雑に巻かれている。
黒尾の姿を見つけた瞬間、彼女の表情は一瞬だけ緩んだ。
まるで「来てくれた」と言いたげに。
だが、その一瞬のあと。
まどかの表情は目に見えて固まった。
黒尾がスマホを握りしめ、画面を見て頬を赤くしていたからだ。
黒尾は仁美からの「戻ってきて」と言うメッセージを見て、さっきホテルで感じていた幸せが戻ってくるようで、抑えきれずに口元が緩んでいた。