【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第12章 Triangular Midnight
仁美 は二人のほうを見ようともしないで、震える声でそれでもはっきりと言った。
黒尾はその言葉に即座に反応した。
「……嫌だ。」
低く、掠れた拒絶。
まるで置いて行かれる子供のように縋りつく声音。
だが研磨は、一歩黒尾に近づくと肩を掴んだ。
「出るよ、クロ。」
「離せよ……!」
抵抗する黒尾の腕を、研磨は無理に力を入れず、しかし逃がさない強さで掴んだまま、部屋の外へ押し出す。
バタン、と扉が閉まる。
二人は研磨の家の玄関先に出た。
しばらくして、黒尾が研磨を睨み上げる。
「……なんで、お前は、仁美 の隣に居られるんだよ。」
絞り出すような声で研磨に詰め寄るが、研磨は少しも怯まず、ただ静かに返す。
「それ、さっき俺に聞いたよね。……そのまま返すよ、クロ。」
「お前は……なんであんなことができるんだよ。なんで……なんで、仁美 に触れた……!」
研磨は一瞬だけ目を伏せ、そして黒尾を真っ直ぐに見た。
「じゃあ聞くけど、クロこそ、なんで離れた?なんで置いてったの?」