【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第12章 Triangular Midnight
階下から、母親の驚いた声と黒尾の明るい声が混ざり合って聞こえてくる。
研磨は素早く布団を引き上げて、裸の肩までしっかり隠す。
母親の返事と、階段を上がるドタドタという足音が直後に響く。
ノックもなく、勢いよくドアが開いて、見たことのない様な表情をした黒尾が現れた。
「仁美──っ……!」
黒尾の声が途中で千切れた。
部屋に広がる光景を見て、黒尾の顔から血の気がサッと引いていくのが分かった。
ベッドの中で布団にくるまって震える 仁美。
そのすぐ傍にいる研磨。
散乱した 仁美 の服。
床に落ちた黒尾の知らない下着の影。
この部屋で何があったのか──説明は何もいらなかった。
黒尾の瞳孔が開く。
息が止まるほどに震え、指先が痙攣する。
研磨はゆっくりと黒尾の方へ顔を向けた。
「遅かったね。クロ。」
淡々とした表情で研磨は黒尾にただそれだけ伝えた。
だけど、その一言に込められた 全て”が黒尾の胸を抉った。