• テキストサイズ

【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】

第11章 The Night I Chose You


黒尾は苦しそうに唇を噛んだ。




手が震えている。

足も動かない。

だけど、目だけが病院の方向を見ていた。




──その目を見て、仁美 は理解した。




黒尾は最悪の決断をした。




懇願する 仁美 に、「必ず戻るから」とだけ言い残して、部屋を出て行った。




仁美 はもう……何も言わなかった。




閉まる扉の音。

遠のく足音。

そのすべてを聞きながら、仁美 の頬には静かに涙が落ちていく。




二人で買った小さなケーキだけが、まだ部屋のテーブルの上に、虚しく、置き去りにされていた。




黒尾の影が消えた部屋の中で、幸せの象徴だった甘いはずのそのケーキは、とても苦いものにしか見えなかった。









/ 299ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp