• テキストサイズ

【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】

第8章 Unholy Devotion






––––––

––––––––

––––––––––




放課後のアスファルトは、蒸気みたいに熱を吐いていた。

部活の疲労は心地よいはずなのに、黒尾は妙に胸の奥だけ落ち着かなかった。





(……また来ちまった。)




理由は分かっている。

喉が渇いたわけじゃない。

偶然でもない。





——会いたいと思ったから。

会ってしまえばまた何かが始まるって、分かってたはずなのに。





視界の先、木陰の下に佇むキッチンカー。

白いカウンターに涼しげな飾り。

そしてその奥に、まどかがいた。





黒尾が近づくと、彼女はすぐに気付いて微笑んだ。





「また来てくれたんだね。このドリンク、本当に好きなんだ?」




黒尾は視線を逸らしながら、いつもの調子を装う。

「……まぁ。好きな人が、気に入ったんで。」




なんでこの人にも仁美にも言い訳しているのだろう。

胸の奥から嫌な気持ちが込み上げてくるようだった。





まどかの指先が、カップに氷を落とす音。

その横顔は、どこか疲れた影を宿していた。

「そっか。その子、幸せだね。」
/ 299ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp