【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第7章 Obsession
窓の外の光がオレンジ色に変わりはじめ、ページをめくる音と、シャープペンの先が紙を擦る音だけが空間を満たしている。
黒尾はノートを開いていた。
けれど、目はそこに落ちていなかった。
何度も何度も、ちらりと視線は仁美の方へと滑っていく。
ペンを走らせる仁美の横顔、ページをめくる仕草、手元を照らす淡い光に浮かび上がる首筋––––。
そのすべてが黒尾の視界に焼き付いて、頭の中から離れなかった。
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下校のチャイムが鳴り、校舎のどこかで鳴り響いたその音が、図書室の静けさを破る。
仁美はペンを置き、静かにノートを閉じた。
廊下に出ると、もう校舎に生徒の姿はなかった。
窓の外は夕方の光が薄くなり始めていて、空気が少しひんやりしていた。
「……バレー部、まだ終わらないよね?」
仁美は何気なく黒尾を見上げて尋ねた。
黒尾は少しの間、仁美をじっと見つめ「先に……2人で帰ろうよ」と低く言った。