• テキストサイズ

【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】

第7章 Obsession




スマホのトーク画面に、研磨の名前が並んでいた。

研磨と2人のトーク画面。




《今日、研磨の部活終わるまで図書室で勉強してる》

《うん》




返ってきたのは、研磨らしい短い返事。

その淡々とした文字列が、仁美の胸に静かに落ちる。




黒尾と2人きりになることを避けるため––––。

自然な形で研磨の予定に合わせて動いている。

それが自分の選択だと、仁美はもう気づいていた。













朝の教室は、まだざわめき始める前の静けさに包まれていた。

扉を開けると、黒尾がいつものようにそこにいた。




軽やかな笑顔で「おはよ」と声をかけてくる黒尾に、仁美も同じように笑顔で「おはよう」と返す。




ただ、それだけ。

それだけなのに、以前のような胸の痛みはなかった。




席に向かいながら、仁美はふとワイシャツの襟元に手をやる。

生地の下、指先が昨夜研磨が残した歯型をなぞる。




少し前なら、黒尾を見つめるたび胸が苦しくなった。

けれど今は、何も痛くない。

むしろ、心の奥が静かに澄んでいくようだった。
/ 299ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp