【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第6章 No One’s Yours
仁美が顔を上げると、彼の瞳が真っ直ぐに自分を映していた。
言葉はなくても、次に何が起きるのか–––。
お互い、もう分かっていた。
研磨は仁美の肩を抱き寄せ、そのままキスを落とす。
浅く始まった唇の触れ合いは、すぐに深く、熱を帯びたものへと変わった。
息が混ざり、体温が溶け合う。
「……このまま、続けるよね?」
唇のすぐ近くで囁かれた声は、熱を含んでいたのに、妙に冷静だった。
仁美はしばらく目を閉じ、胸の奥の痛みに耐えるように息を詰め、静かに「うん」と頷いた。
研磨は小さく笑った。
それは優しさとは違う、どこか黒尾を見透かしたような笑みだった。
「……クロの泣く顔が楽しみだね。」
泣くかな…。あのクロが。
案外、ここまできたら、私と研磨がくっ付いたら喜ぶんじゃないかな…。
でも、クロも傷付いて泣いてくれるなら–––。
私は嬉しいだろうな。
だってクロには私と同じように傷付いて欲しいから。